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Lenzgesind

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2007年 07月 26日

苺とチョコレート

出会いとは重なるものか、念ずればかなうものなのか、なんとかして観たいと切望していたトマス・グティエレス・アレア監督の映画、しかも名作といわれてる<苺とチョコレート>を観ることができました☆

この物語の原作はキューバの作家セネル・パス。キューバではなんと、大人の男性が公衆の面前で、苺を食することはないそう。(オカマにみられちゃうんですね・・・)それに対しチョコレートは公認されているそうです・・・
苺とチョコレート_e0113871_15204559.gif



芸術の中に生きる自由主義者のアーティスト、ディエゴと<共産主義青年同盟>に属する(当時16歳から30歳までが加入できる。資格検査のある同盟)生真面目な青年ダビド。
アイスクリーム・パーラーでの出会いが運命的なものに・・・。
ダビドは当初ホモセクシュアルで、反体制的なディエゴに 嫌悪感を抱きますが、音楽、小説、政治・・・あらゆることに精通する豊かなディエゴの人間性に、次第に魅かれていきます。二人は友情以上の絆を育んでいきますが、周囲の偏見や差別により、ディエゴは苦しい立場に追い詰められてゆきます。


 前回の<低開発の記憶ーメモリアスー>は、キューバ革命を巡る動きをセルヒオというひとりの男性の目をとおして客観的にみるという作品なのですが、今回観た作品はキューバの人間ドラマ。ゲイの差別はキューバにも根強く存在するようで、才能豊かな知識人、ディエゴもその差別に苦しめられています。主人公の若く純粋な青年、ダビドもディエゴのアプローチをはじめはこっぴどくはねつけます。
 しかし、ディエゴの住む家の不思議な空間、マリア・カラスのアリアやイグナシオ・セルバンテスの<さらば、キューバ>のメロディに耳を傾けながら、ダビドのみならずわたしも知らず知らずのうちにディエゴのもつ豊かな知識に魅せられ、温かみに触れ、画面から目を離せなくなりました。
ディエゴの住居のインテリア。アンティークな家具や調度品、数多くのマリア像やイエス・キリストの像。小さな古めかしい磁器のカップで淹れられる珈琲。なぜか心が和みディエゴのとりこになっちゃいました!(ゲイだけど・・・)
 ディエゴの願いは届かず、ダビドと彼はゲイの関係になることはないのだけど、ダビドはディエゴの友人(年上の女性)と恋に堕ち、ひとを愛する喜びと強さを知ることとなります。ひとりの青年の成長の物語ともなっています。(ちなみにこの女優さん、すごく魅力的でチャーミングと思ったら、監督の奥さんでしたァ)
ディエゴはそんな彼を温かく強く見守り、お互いは人間としての強い絆で結ばれるのです・・・。
最後の抱擁には思わず涙・・・。

ニヒルな香りが強く感じられた<低開発・・・>に対して、こちらは根強い人間への愛情を感じさせてくれる名作です。オススメ~♪

by EKreidolf | 2007-07-26 15:15 | 映画


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